2024年4月18日木曜日

今シーズンの大会について考える

徐々に今シーズンの大会予定があがっているようなので今シーズンの予定について考えてみています。

今のところ予定がわかっているものについては
6月 マウス合宿 ◯
7/6, 7 デンソーカップ ◯
7/20, 21 関西地区大会 △ (前向きに検討中)
10/5, 6 東北地区大会 ◯ (行きたい)
10/26, 27 九州地区大会 △ (中部かどっちか片方には出たい)
11/2, 3 中部地区大会 △ (九州かどっちか片方には出たい)
11月 学生大会 ◯
2/22, 23全日本大会 ◯

わかっていないものに関しては
金沢 and 北陸信越... どちらか片方には出たいところ(ですが忙しさ次第でもある)
東日本... 日程次第

というところですかね。

2024年4月8日月曜日

マイクロマウスTips3 磁気式エンコーダの設計

はじめに

相変わらずブログの存在を忘れていた訳でご無沙汰しています...。
そういえば前に磁気式エンコーダについて記事を書く、といってどのくらいの月日が流れたかはよく分かりませんが、書いていきます。

今回の内容

マイクロマウス(旧ハーフ)では、既製品のエンコーダだとサイズが大きく扱いづらいために自作のエンコーダを使う方が多いと思います。その中でも、ネオジム磁石を使って専用のエンコーダICを用いて回転数を読み取るのは最もメジャーなやり方だと思います。
ここで問題となってくるのが、下手に作ると得られるデータが使いづらくなってしまうという点があります。機械精度やエンコーダICの性能といった話もあるのですが、この記事ではエンコーダICに必要な強度の磁場を与えるためにどうするかの設計について示します。
Entranceはこれに基づいて設計しています。これを考えたのはB1の夏ごろの話なので、おそらく高校物理が分かっていれば読める程度の内容だと思います(多分)。
※モバイル版だと数式がうまく出ないみたいなのでウェブ版のページで見ていただけるとよいと思います。

磁気式エンコーダの動作原理

磁気式エンコーダのICはどのようにして磁石の回転を読み取っているか、というとホール効果を利用しています。ホール効果とは何ぞや、という人は調べてください...だと投げやりすぎる気もするのでさらっと触れておくと、電流が流れているところに磁場をかけると電子の分布がローレンツ力によって偏り、起電力が生じる現象です。
磁気式エンコーダICの場合、下図の向きの磁場を検出する仕組みとなっており、磁石が回転すると磁場の強さは一定で分布の方向のみが回転するといった具合になります。このため、磁気式エンコーダで使われるネオジム磁石は径方向着磁といって、一般的な磁石とは違う方向で極が分かれているものを使用します。

磁気式エンコーダの仕組み概要

磁束密度の見積もり

では、エンコーダICにかかる磁束密度について見積もっていきましょう。
そうはいっても円柱のまま磁束密度を扱うのは難しいので、ここではN極、S極の重心の点にそれぞれ正と負の点磁極が1つずつあると仮定して計算します。この点磁極によってネオジム磁石のデータシートに記載されている表面磁束密度が生じていることから、エンコーダICのホールセンサ部にどれだけの磁束密度が生じているのかを見積もります。

仮定のイメージ

下図に、説明用の図を示します。

磁石の半径を$r$、厚みを$h$、磁石からエンコーダICのセンサまでの距離を$d$とします。
まず、仮定した点磁極の位置を確認しておくと、図の$y$方向と$z$方向は対称性から中央にあり、$x$方向については半円の重心の位置になります。これを$a$とすると
$$a=\frac{4}{3\pi}r$$
になります。導出は普通に積分するか、計算が嫌ならパップス・ギュルダンの定理あたりを使うか、そんなことをしなくてもググるか、で分かります。

次に、磁石に記載されている表面磁束密度$B$について考えていきます。


径方向着磁なので、データシート記載の表面磁束密度(例えば確かEntranceはネオマグさんのこちらのものを使っており、製品ページから確認できます)は上図のように側面z方向中心の位置での微小面の値であると考えられます。
ここで、この点での磁場の大きさ$H$を考えると、単位磁極が受ける力を磁気におけるクーロンの法則で見積もればよいので、比例定数$k_1$、仮定した磁極の磁気量$m$を用いて
$$H=k_1\frac{m}{(r-a)^2}-k_1\frac{m}{(r+a)^2}$$
になります。ここで
$$H=\frac{1}{\mu_0}B$$
であることから、新たに比例定数$k_2$を用いると
$$B=k_2 m\left(\frac{1}{(r-a)^2}-\frac{1}{(r+a)^2}\right)$$
となり、これがデータシートの表面磁束密度であると考えられます。

これをもとに、エンコーダにかかる磁束密度を見積もります。

エンコーダの中央での磁束密度は、上図のように2つの点磁極から受けるベクトルの合成と捉えることができます。$z$方向については相殺されて0となり、$x$方向についてのみ成分が残るので、結局のところ正の点磁極による磁束密度の$x$成分を2倍してあげれば、求めたい磁束密度$B_{sensor}$になることが分かります。
正の点磁極による磁束密度$B_1$の大きさは、磁極からホールセンサの距離を考えると、先ほどの比例定数$k_2$を用いて
$$B_1=k_2 m\frac{1}{a^2+(\frac{1}{2}h+d)^2}$$
になります。したがって、その$x$成分を2倍することで$B_{sensor}$は
$$B_{sensor}=2B_1 cos\theta$$
となります。ちなみに、$cos\theta$は図より
$$cos\theta=\frac{a}{\sqrt{a^2+(\frac{1}{2}h+d)^2}}$$
となります。

比例定数と磁極の値は勝手に置いた値なのでわかりませんが、データシートの磁束密度と求めたい$B_{sensor}$を比較すると長さの二乗の比で計算すればよいことがわかり、結局
$$B_{sensor}=2B\frac{\frac{1}{(\frac{4}{3\pi})^2r^2+(\frac{1}{2}h+d)^2}}{\frac{1}{(1-\frac{4}{3\pi})^2r^2}-\frac{1}{(1+\frac{4}{3\pi})^2r^2}}\frac{\frac{4}{3\pi}r}{\sqrt{(\frac{4}{3\pi})^2r^2+(\frac{1}{2}h+d)^2}}$$
という風になると思います。これでネオジム磁石の諸量とエンコーダと磁石の距離から、ICに流れる磁束密度が求められるようになりました。

エンコーダICに必要な磁束密度とその考察

実際のエンコーダICに必要な磁束密度はデータシートに書いてあります。例えばEntranceで用いたAS5147P(データシートのリンクに飛びます)なんかだとPage8に書いてあります。また、ホールセンサの位置についてPage35にかいてあるので、それも考慮して設計した覚えがあります。
導出した数式から$r$を小さくしたり$d$を大きくしたりすると与える磁束密度が小さくなってしまい苦しくなってくることが分かります。実際に何でもいいので計算ソフトに式を入れてパラメータをいじれば雰囲気はつかめてくると思います。
ちなみにEntranceはφ4の磁石を使っており、これがちょうどよいくらいだったと思います。

終わりに

いかがでしたでしょうか。あまりこの手の磁気式エンコーダの設計の話は耳にしたことがないですが、こんな感じで見積もるとどの程度攻めた設計をしてよいかの見当がつくのではないかと思います。(もしもなにか間違いあったらすみません)

余談

Q. そんなことよりLightningとかでやってる光学式エンコーダの話が聞きたいです。
A. やめといたほうが良いです。

2024年3月11日月曜日

APEC2024 5日目 大会本番

この日は大会本番の日ですが、時間が夜19:30からなので午前中は観光へ。おすすめされたCalifornia Science Centerへ行ってきました。日本で言う未来館に近いようなところです。



宇宙関連の展示と生態系に関する教育向けの展示の2つを楽しんできました。






午後に会場へ。



18:30までは調整して良いとのことだったので、主に探索を中心に調整しました。

日も暮れて、迷路公開。経路は一見2つありますが、斜めを使うメリットはないので実質的に長めのストレートを繰り返すのが代表経路になります。



今回参加したロボットたち。台湾や中国の参加は春節の影響もあって無く、いつもの人たち+現地のマウスが少し、という感じです。



さて、競技の方ですが探索は全日本と同様1.0m/s吸引探索。帰りにやたら補正が多くかかって怪しかったですが壁の読み違いは特に無くとりあえず無事帰還。
その後のオートスタートですが、ストレートの部分は問題なく進んだもののその後の短めの斜め区間を超えた180ターンで壁切れが読めず壁に衝突。Thunderが壁切れを早く読んでしまうのはともかく読み飛ばすのはおそらく作ってからこの大会本番までおそらく一度もなかったので驚きでした。
その後はFastestRun狙いで普段のパラメータを使いましたがこれも直進中に吹っ飛んでいったりターン位置が悪かったりよくわからない動きを連発して一度も記録を残せず終了しました。

最終出走にも関わらずこけるという学生大会の二の舞のような展開になってしまい非常に残念ですが、大会のたびにわかっていない問題が出てくるというのはまだ検証が足りていないのだと思います。今回優勝されたPeterさんのマシンは環境が違う中でも非常に安定していたので、やはり安定性はここぞという大会では非常に重要だと痛感しました。

大会終了後はマウサーと別れを告げて帰宅。6日目は移動のみなので特筆することはなく。

以上、APEC2024のレポートでした。アメリカも海外戦もはじめてでしたが、非常に濃密な日々で貴重な経験となりました。

APECの話を伝えてくださりGITAI見学の機会を設けてくださったNTFのNさん、私を招待してくださったOttenさん、同じく日本人マウサーとして行動をともにしたTさん、PeterさんやHarjitさんといった海外選手の皆さん、非常に様々な方のおかげです。本当にありがとうございました。言語や文化を超えてでもやり続けたいと思う魅力がここにはある、そう実感することができました。

そしてこれでようやく2023シーズン終了。2023は速度域は上がりましたがここぞという場面で外してしまいがちだった印象だったので、2024に向けて修行を重ねなくては...。

APEC2024 4日目 試走

この日は午前中はNさんが会場近くの戦艦博物館に行くとのことなのでご一緒することに。Battleship IOWAの展示です。




まあまあ階段が急なのと、思った以上に内容があって2時間近くかけて回りました。





その後会場へ移動。今回の会場はLong Beach Convension Center。




はじめマイクロマウスのブースが見つからなかったのですが海外選手に教えてもらいスペースを発見。迷路の組み立てからスタートしました。



APECで使用される迷路はいくつか日本とは違いが有ります。写真のように9枚の板に金属片を差し込んで組み合わせていきます。全日本の迷路と比べてしまうとあるところには段差が有りますが、全く走れないというほどでもないくらいです。ちょうど1mmくらいがMAXのような印象でした。



表面は話に聞いていたとおりかなりスベスベです。



壁、柱も日本のものとは違い壁の差し込む出っ張りにテーパーがかかっており、上から差し込んで固定する感じです。これが結構接合が固かったりあわなかったりして、組み立てるのが大変...汗。また、壁の中は中空構造です。



組み立てが終わったら早速試走。壁の反射率が違うと聞いていましたがそのとおりで日本のときより値が弱めにでているようだったので、そこのパラメータを調整。また、全日本で見られた壁の読み違いがまだ見られたのでそこの閾値を調整。結局の所全日本では壁判定の閾値があまり良くなかったようです。最短走行は安定していそうだったので特に調整せず。

迷路の置く位置や照明環境が本番とは違うのでそこそこのところで切り上げてこの日は帰宅しました。

APEC2024 3日目 GITAI見学

この日は午後に予定があるのでそれまで適当に時間を潰します。

午前中はホテルの近くを散策していたところ、日本向けスーパー(?)みたいなものを発見したので入ってみることに。




おそらくドン・キホーテと提携しているみたい?な店で品揃えがしっかりしていて驚きました。あまり見かけませんでしたが日本人在住者もいるのでしょうか。



お昼ごろに目的地であるトーランスに移動。少し時間があるので近くの公園をブラブラ。この日は土曜日だったのでファーマーズマーケット的なものも行われていました。



リスがかわいい。




そして午後のメインイベント。GITAI見学にやってきました。



宇宙ロボットのスタートアップ企業で、ところさんが案内してくださりました。実に6年ぶりくらいの再会でした。ここで日本勢(Nさん、Tさんら)や海外選手も合流し、非常に有意義な時間を過ごしました(写真とか興味ある人は今度会う時に言ってもらえれば)。

その後日本勢と海外勢は一旦別れてところさんのアパートの共有スペースみたいなところで交流。とても広々した屋外で羨ましかったです笑。画像は思ったよりしっかり火が出てTさんと一瞬燃やされそうになった暖炉。



夕食は日本勢の皆さんとステーキ。ところさんとTさんの宇宙開発関係の話を始めとても興味深くためになる話を色々と聞くことができました。



ところさんには翌日出張があるご多忙な中、貴重な機会をくださり本当にありがとうございました。非常に思い出に残る1日となりました。

2024年3月10日日曜日

APEC2024 2日目 USH

ということで前日の夜に取ったチケットでUSHへ。


何に乗ろうかというより何があるかもあまり良く知らない感じでしたが、とりあえず進みながらスタジオツアーというのがここ限定みたいなので、まずはそこに向かいました。実際に映画の撮影で使われているセットを60分程度かけて回るガイドツアーです。洪水のセットやサメが出てくるセットなど迫力があって面白かったです。



その後はLower Lotのアトラクションが面白そうだったので下へ。まず行ったのはトランスフォーマーのアトラクション。3D映像と合わせてエキサイティングなライドが楽しめました。45分待ちくらい。


続いて土管をくぐってクッパ城へ。




割と新しくできたみたいで、ここのマリオカートのアトラクションが一番人気でした。90分並んでマリオカートしてきました。乗ってるだけではなくて体験型なのが人気なのかもしれません。



待っている間も実際のステージみたいに作られていて城の中に進んでいる感じがしたので割と退屈なく過ごせました。...が、これは単純に私の並び耐性が高いだけかもしれません(アトラクションで隣になった人に90分並ぶ価値はあった?的なことを聞かれたので...)。




一旦ご飯を食べて休憩してから次へ。水にダイブするアトラクションが面白そうだと思ったので乗ることにしました。ジュラシック・ワールドですね。



さて、並んでいるとなんか雨合羽をしているひとがちらほら。そして通された席は一番前の端。あーこれはやられるなとテンション上がりつつ。



見事にずぶ濡れになりました。遠慮がなくてとてもよかったです。



Lower Lotのメインのアトラクションは残りはザ・マミーのジェットコースター。急加速がスリリングで楽しいです。縦GはThunderと良い勝負くらいですかね、ちょっと分かりませんが。



下は見終わったのでUpper Lotへ。あと他にもう1個ジェットコースターに乗って時間が夕方になっていたので夕御飯を適当に済ませてお土産を見て帰宅。帰りのUberの人もUSHはよく行くけどまだマリオカートのアトラクションは乗ったことがないと言っていたので、割と満喫できたのではないかなと思います。

ここまでは完全に1人旅ですが次の日からはマウサーと合流していきます。

APEC2024 1日目 サンタモニカ観光

今回からは2/22~2/26のAPECでアメリカへ行ってきた話を書いていきます。

まずは1日目。時差があるので2/22 16:30頃に羽田を出てついたときは2/22 9:15。空港から無料のバスにのってLAX-it(Uber, Lyftなどのタクシー乗り場)ヘ向かい、とりあえずホテルへ行って荷物を預けに行きました。

今回泊まった場所はサンタモニカのシュアステイホテルというところ。部屋が広くて快適でした。バスルームのライトの人感センサがシャワーカーテンを閉めると反応せず、シャワーを浴びているとき真っ暗なこと以外は普通に良かったと思います。




さて、実はここからどうするかは全く何も考えていなかったので、その場で考えて行動。まずはお昼ご飯を食べようと、面倒くさいので適当にチェーン店でよいかと思いGoogle Mapを覗いてみると、「頼まれたメニューが正しく出てきたことは一度もない」とか書いてあるのでだめだこりゃと。ウロウロしていて良さそうだったレストランでサンドイッチにしました。美味しい。




店内でご飯を食べながら周辺の観光地を調べているとどうやらビーチ周辺に向かうと良いらしいことがわかったので、午後はサンタモニカ・ビーチへ。



ロサンゼルスは基本的にすごしやすい気候で大体晴れているので、砂浜にいると非常に気持ちが良いです。時差もあるので寝そうになりました笑。





ここはルート66の終端ということでも有名みたいです。



近くに簡単な遊園地もあります。天井の空いた観覧車が面白そうだなと思ったのですが、2人以上じゃないと乗れないと言われました。悲しい。



ふてくされてアイスを買いましたがこれ1000円以上してましたね。ミスった。



ビーチは満足したので近くのショッピングモールのあたりへ。すると、Teslaのショールームを発見。今回APECに同行したNTFのNさんに事前に教えてもらっていたTesla Botの静展示がありました。なかなかにスタイリッシュで良いですね。






その後はショッピングモール内をブラブラ。割と日本っぽいものも多いので観光客とかが多いのかな?と思ったり。





時差(と開発疲れ)で時々眠気が襲っていましたが夕日がきれいということなのでSunsetの時刻まで残って最後に夕日を眺めて帰宅。少し曇っていましたがそれでも非常に良い光景でした。



帰宅後は何も考えていない翌日のプランを検討。ディズニーかユニバかに行こうと思い、どうしようかなと思ったのですが、NiziUのユニ春ライブに行けなくて悔しいので距離と入園料的にユニバが良いなと思ったのでチケットを購入して、この日は終了。