昨日の記事はundefinedでした(だれか埋めてくれないかな)。
はじめに
はじめて自作マウスを作る上で、自分で作った回路を正しく動く状態にするというのは、1つの大きな関門です。
学生大会ではマイコンの書き込みがうまくいかないという話を耳にしたので、この記事を書き始めたときはマイコン周りのみの話をしようと思っていました。しかし、まとめようと思うと把握しておくべき事項がかなり多いことに気づいたので、いくつかにわけてノウハウを紹介していきたいと思います。
今回は回路製作の視点ということで、総論について示します。主に私が回路製作で意識している点や、どんな回路にも言える陥りやすい点などについて書きます。
電源回路やRXとSTM特有のところなどといった話は、各論として少しずつ出していこうと思います。
大まかな流れ
回路を製作するうえでの手順は基本的に次の3工程だと思います。
1. 回路図(どの部品の足とどの部品の足が接続関係にあるか)を作成する
2. 配線図(実際の配線、基板パターン)を作成する
3. 設計した基板データ通りに、実装をする
これはユニバーサル基板であろうとプリント基板であろうと、共通の流れだと思います。
ここで大事なのは、この3工程のそれぞれにミスをするポイントがあるので、疑っていくときに1~3のどこの問題かを強く意識してデバッグしていくとよいということです。
ただなかなか厄介なのは、不具合が起こっている回路の場合、症状を見ただけではどれと特定するのが難しいというところです。複数のトラブルを抱えている場合、1つ解消しても動作が変わらない、みたいなこともざらにあります。1つコアとなる理論を把握していれば一直線で議論が進む数学やアルゴリズムとは違って、考えられる問題を根気強く潰していき、致命的な点をなくすというところがゴールです。
では、この3つそれぞれについて私が意識している点を書いていきます。
回路図設計のポイント
まず、自分で何かこういう回路を作りたい、となった場合にまずはじめにやることは、他に同じことをやっている人がいないかを探すことです。マウスの場合はちょっと調べれば多くの人が自身のマシンの回路図を公開していると思うので(ありがたい)、どんどん参考にしていきましょう。
そして参考にする際に非常に重要なことは、ほかの人の回路図と各種IC、センサのデータシートやリファレンスマニュアルを照らし合わせて、どうしてその回路図になるのかをよく考えることです。1つの回路図だけだとわかりにくいので、複数あるとよいでしょう。比較してみると誰にでも共通している点と人によって違う点があると思うので、そういったところは理解のヒントになると思います。基本的に根拠はデータシートにあります。人のを参考にするというのは理解のとっかかりとして良いのであって、その根拠を考えていないと、うまくいかなくなったときに手詰まりになってしまうと思います。そのコンデンサはデータシートの何ページにつけるように指示があるか、一度は確認しましょう。
配線図設計のポイント
配線のポイントはまず、配線ではなくて部品配置にあります。私は部品配置8:配線2くらいの重さで捉えています。どういう配線にするかあらかじめ想定して部品を置くことが大切です。ここが上手にできると配線が楽に出来ます。パターンを引き始める前が勝負だと私は思っています。
配線を始めたうえで考えるのは以下2点だと思います。
・流す電流量に対して配線の幅が足りているか
・ノイズが載ってしまう配線になっていないか
1つ目は電流が多く流れるところは太く配線するということです。バッテリーの電源、モーターにつなぐ配線なんかが代表でしょうか。あと私はアナログ周りの信号線は少し太めにしたりしています。大体1Aで幅1mmくらいといわれており私もその要領で配線していて電流が流せなくて困ったことはありません。
2つ目は、とりあえずノイズ対策.comはプリント基板を作り始めるまでに一度はすべてに目を通しておいてほしいところです。ポイントが網羅されています。あとこれは私が意識していることとして、配線しながらも電流がどの経路でバッテリーまで戻ってくるかを考えるようにしています...がおそらくこれは慣れている人向けだと思います。
プリント基板を前提に話していますが、ユニバーサル基板だとどうでしょう。気を付けているのは電源などに細いウレタン線を使ったりしないこととコンデンサをICのすぐそばに置くことくらいですかね。それだけですが特に悩まされたことはないです。
実装のポイント
実装のポイントというかゴールは接触不良がないことです。そのうえで一番大事なことは
良い道具を使うこと
だと思います。よい道具はえてしてお高めなことが多いですが、はんだごてや圧着工具、こて先やニッパーなど、ある程度よく使う道具はちゃんとしたものを使うとよいと思います。
また、基板のパッドを大きめにとるのも結構効きます。小さすぎるとはんだごてをあてる面がなくて苦労することがありますね。
あとはまあなんというか、丁寧に作ることが非常に大切ですね。部品の位置がちゃんと真ん中に乗るように置くことや、はんだがフラックスが抜けて死んでいないか(張りがなくなってしまっていると危ないです)といったところを、妥協せずに見ていきましょう。ここは多少時間かけてでも丁寧にやったほうが、あとあと動作確認で動かなくて苦しむより楽になるケースが多いです。はんだごてを使う際に点ではなくて面を使って熱の伝わりを意識する...とかもありますがこれは文で書いてもしょうがないので練習あるのみです。
動作確認をする際のポイント
以上の3工程を踏んで動作確認をするわけですが、大事なことをいくつか述べていきます。
まず、動作確認は細かい要素ごとに行いましょう。一気に全部やると、それだけミスとなりうる要因が増えるので間違えやすいだけでなく、何より間違えたときの原因箇所の特定がぐっと難しくなってしまいます。要素が増えるたびに要因は掛け算的に増えるというイメージです。マウスの場合、具体的にはバッテリー電源→レギュレータなど通して安定させた電源→マイコン書き込み→スイッチ、センサ、モータなど1つずつみたいな要領でやるとよいでしょう。
トラブルが発生したらどうしましょうか。基本的には、問題と考えられる箇所をテスター、場合によってはオシロスコープを用いて確認していきます。うまく動いているとしたらどういう値が出るかを想定して、特徴的と思われる箇所を測定していく流れになります。
部品選定について
3工程と書きましたが、本来は最初に部品選定が入るので本来は4工程です。が、正直言ってしまうと初心者の場合、ほかの人が使ったことがある部品(特にIC)を使うようにしましょう。回路を自分で作ったことのない人が誰も使っていないICや部品を使うのは無謀です。マウスでよく使われるICはあると思いますが、あれは別に更新するのを怠っているとかではなくいろいろな観点から見て信頼性の高い部品がよく使われる部品として残っているという感じです。マウスはサイズの制約も厳しいので、応答性やノイズ耐性など考慮してくと使える部品は限られるのですが、それがピンとくるまではメジャーな部品を使いながら使い方を学ぶのが現実的だと思います。
終わりに
ざっくり全体像と、私が普段気を付けている点や力点について今回は示しました。
回路が思うように動かないと特に初心者の場合モチベーションも下がると思うので難しいところだとは思いますが、時間をかけてデバッグしたり、信頼できる人に相談したりして頑張っていきましょう。
次回からは回路に関しては個々の各論について紹介していこうと思います。
投稿0:00からちょっと遅れちゃいましたね。すみません。アドカレ4本はちょっと重かったかな...(うち1つは内容ないですが)。
次回はジャッジー先輩の「わんちゃん今宵は良い夜に」です。良い夜ということはガッツリ開発して圧倒的進捗でも生むのでしょうか(←病気)。どんな内容か予想つきませんが楽しみにしてます。